日本のうたII

島津亜矢( 島津亞矢 ) 日本のうたII歌詞
1.豪商一代紀伊国屋文左衛門


2.山

作詞:星野哲郎
作曲:原譲二

流れる雲の 移り気よりも
動かぬ山の 雪化粧
ガンコ印の 野良着をまとい
生きる師匠(おやじ)の 横顔に
おれは男の 山をみた
おれもなりたい 山をみた

けわしい山に 登ってみたい
自分の道を 極めたい
それは男の 見果てぬ夢か
山に登れば その山の
山の向こうに 待っている
山の深さを 知るばかり

目先のことに うろちょろするな
昨日と同じ 今日はない
それが師匠の 口癖だった
たった一度の 人生を
花にするのも がまんなら
山にするのも またがまん


3.見上げてごらん夜の星を


4.北海の満月


5.なみだ船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

涙の終りの ひと滴
ゴムのかっぱに しみとおる
どうせおいらは ヤン衆かもめ
泣くな怨むな 北海の
海に芽をふく 恋の花

クルクル帆綱を 巻きあげて
暁の千島を 忍び立ち
あてにゃすまいぞ ヤン衆かもめ
舵であやつる 舟のよに
女心は ままならぬ

惚れたら遠慮は できまいが
いやというなら ぜひもない
夢をみるなよ ヤン衆かもめ
にしん枕に 北海の
月に哀しや 泪船


6.かもめの街

作詞:ちあき哲也
作曲:杉本眞人

やっと店が終わって
ほろ酔いで坂をおりる頃
白茶けたお天道が
浜辺を染め始めるのさ
そんなやりきれなさは
夜眠る人にゃわからないさ
波止場に出れば
かもめがブイに二、三羽
一服しながら
ぼんやり潮風に吹かれてみるのが
あたしは好きなのさ…

かもめよ かもめよ
淋しかないか
帰る故郷があるじゃなし
おまえも一生 波の上
あたしも一生 波の上
ああ ああ どんぶらこ

いろんな人がいたし
いろんな人がいなくなった
泣いてくれるのは
かもめと霧笛ばかり
一服しながらあれこれ
取り止めなく懐かしむのが
あたしは好きなのさ…

かもめよ かもめよ
風邪などひくな
絹の寝床があるじゃなし
おまえも一生 波の上
あたしも一生 波の上
ああ ああ どんぶらこ

かもめよ かもめよ ああ ああ


7.刃傷松の廊下


8.秋桜(コスモス)

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

淡紅の秋桜が 秋の日の
何気ない陽溜りに 揺れている
此頃 涙脆くなった母が
庭先でひとつ 咳をする

縁側でアルバムを開いては
私の幼い日の 思い出を
何度も 同じ話くり返す
独言みたいに 小さな声で

こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが 浸みて来る
明日嫁ぐ私に 苦労はしても
笑い話に時が変えるよ
心配いらないと笑った

あれこれと思い出をたどったら
いつの日もひとりではなかったと
今更乍ら我侭な私に
唇かんでいます

明日への荷造りに手を借りて
しばらくは楽し気にいたけれど
突然涙こぼし元気でと
何度も何度もくり返す母

ありがとうの言葉をかみしめながら
生きてみます私なりに

こんな小春日和の穏やかな日は
もう少しあなたの子供で
いさせてください


9.年輪

作詞:関根縋一・補作詞:石本美由起
作曲:原譲二

雪の重さを 撥ねのけながら
背のびしたかろ 枝も葉も
山に若葉の 春がくりゃ
よくぞ耐えたと 笑う風
苦労、年輪 樹は育つ

みどり絶やさぬ お山の掟
守りつづけて 子や孫に
強く伸びろの 親ごころ
枝を切る木に 血が通う
苦労、年輪 樹は育つ

いつか世に出て 大黒柱
夢のようだか 夢じゃない
願い重ねた 歳月に
熱い思いが 生きている
苦労、年輪 樹は育つ


10.海で一生終わりたかった

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

甘い恋など まっぴらごめん
親のない子の 見る夢は
小さな貨物(カーゴ)に 乗り組んで
港々で 恋をして
海で一生 終わりたかった

五体(からだ)こわして 船から降りて
陸(おか)にあがった かっぱだよ
海原とおく 眺めては
無念残念 くやし泣き
海で一生 終わりたかった

海は海でも ネオンの海は
俺にゃちっとも なじめない
海には母が いるという
おとぎ噺を 追いかけて
海で一生 終わりたかった


11.さくら


12.佐渡の恋唄

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也

佐渡へ佐渡へと 流れる雲に
のせてゆきたい わたしのこころ
離れて四十九里 小木の港は波の果て
あなたに逢いたい
声をしのんで 啼く千鳥

ハァー 佐渡と柏崎ゃ 棹さしゃとどくよ
なぜにとどかぬ この想い

佐渡の日暮れの 荒磯波は
あだし仇波 寄せては返す
あなたと踊った おけさ流しの篝火に
想いをこがした
赤いシャクナゲ 咲く岬

佐渡のつばめは 千里の海も
恋のつばさで 越えるときいた
小雪がちらちら 舞えばせつない雪の肌
あなたに逢いたい
海の荒さよ 佐渡の島


13.瞼の母

作詞:坂口ふみ緒
作曲:沢しげと

軒下三寸 借りうけまして
申しあげます おっ母さん
たった一言 忠太郎と
呼んでくだせぇ
呼んでくだせぇ たのみやす

「おかみさん 今何とか言いなすったね
親子の名のりがしたかったら
堅気の姿で尋ねて来いと言いなすったが
笑わしちゃいけねぇぜ
親にはぐれた子雀が
ぐれたを叱るは無理な話よ
愚痴じゃねぇ 未練じゃねぇ
おかみさん 俺の言うことを
よく聞きなせぇ
尋ね 尋ねた母親に
倅と呼んでもらえぬような
こんなやくざに 誰がしたんでぇ」

世間の噂が 気になるならば
こんなやくざを なぜ生んだ
つれのうござんす おっ母さん
月も雲間で
月も雲間で もらい泣き

「何を言ってやんでぇ
何が今更、 忠太郎だ 何が倅でぇ
俺らにゃおっ母はいねぇんでぇ
おっ母さんは 俺の心の底に居るんだ
上と下との瞼を合わせりゃ
逢わねぇ昔の
やさしいおっ母の面影が浮かんでくらぁ
逢いたくなったら
逢いたくなったら 俺ァ瞼をつむるんだ」

逢わなきゃよかった 泣かずにすんだ
これが浮世と いうものか
水熊横丁は 遠灯り
縞の合羽に
縞の合羽に 雪が散る

おっ母さん


14.岸壁の母

作詞:藤田まさと
作曲:平川浪竜

母は来ました 今日も来た
この岸壁に 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて

「又引揚船が帰って来たに、
今度もあの子は帰らない…。
この岸壁で待っているわしの姿が
見えんのか…。
港の名前は舞鶴なのになぜ飛んで
来てはくれぬのじゃ…。
帰れないなら大きな声で…お願い
せめて、せめて一言…。」

呼んで下さい おがみます
ああ おっ母さん よく来たと
海山千里と 言うけれど
なんで遠かろ なんで遠かろ
母と子に

「あれから十年…。
あの子はどうしているじゃろう。
雪と風のシベリアは寒いじゃろう…
つらかったじゃろうと
命の限り抱きしめて…
この肌で温めてやりたい…。
その日の来るまで死にはせん。
いつまでも待っている。」

悲願十年 この祈り
神様だけが 知っている
流れる雲より 風よりも
つらいさだめの つらいさだめの
杖ひとつ

「ああ風よ、心あらば伝えてよ。
愛し子待ちて今日も又、
怒濤砕くる岸壁に立つ母の姿を…」


15.北海恋唄

作詞:吉岡治
作曲:弦哲也

百も承知で 男気(おとこぎ)だして
よその火の粉を まるかぶり
他人をそれでも 信じきっている
あんた 負けたよ
腹をくくって やるしかないね
ここはヨイショと ヨイショとここは
我慢 我慢の網を引く

海は凪(な)いでも 心は時化て
家をとび出た こともある
なにもいわずに 差し出す傘に
あんた 泣けたよ
強いようでも 所詮はおんな
ここはヨイショと ヨイショとここは
ふたり 一緒に舟を漕ぐ

魚獲らせりゃ 北海一で
あとはのろけの 夫婦仲
潮の満干(みちひ)は 誰にもあると
あんた 負けたよ
骨も太けりゃ 態度もでかい
ここはヨイショと ヨイショとここは
大漁 大漁の春を待つ


16.大利根無情

作詞:猪又良
作曲:長津義司

利根の利根の川風 よしきりの
声が冷たく 身をせめる
これが浮世か
見てはいけない 西空見れば
江戸へ江戸へひと刷毛 あかね雲

「佐原囃子が聴えてくらあ想い出すなア…、
御玉ヶ池の千葉道場か、うふ…。
平手造酒も、今じゃやくざの用心棒、
人生裏街道の枯落葉か。」

義理の義理の夜風に さらされて
月よお前も 泣きたかろ
こゝろみだれて
抜いたすすきを 奥歯で噛んだ
男男泪の 落し差し

「止めて下さるな、妙心殿。
落ちぶれ果てゝも 平手は武士じゃ
男の散りぎわは知って居り申す、
行かねばならぬそこをどいて下され、
行かねばならぬのだ。」

瞼瞼ぬらして 大利根の
水に流した 夢いくつ
息をころして
地獄まいりの 冷酒のめば
鐘が鐘が鳴る鳴る 妙円寺